ラレコ山への道 小野木豊昭 古典空間への誘い
コラーレ倶楽部
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COLARE TIMES
【其の六】三味線解体新書
1999年1月
三味線……箏や尺八と並んで日本を代表する楽器です。皆さんはこの楽器にどんなイメージをお持ちでしょうか。歌舞伎、文楽、祇園、新橋、じょんから節……と様々な絵を思い描く事ができる、実に懐の深い楽器であると言えましょう。今回はそんな三味線を少々解剖してみましょう。これだけ知ってりゃ、あなたも立派な三味線通 !
【その歴史】
三味線は今から400年ほど前、ちょうど信長、秀吉の時代、大陸から琉球時代の沖縄へ伝えられた弦楽器を日本向きに改良したものといわれています。
【その構造】
一口に三味線といっても実に様々な種類があります。大雑把にいうと、その大きさによって細棹、中棹、太棹の三種類に分類されます。主に皮の張り具合や駒の違いによって、様々に音色が変わってきます。ちなみに皮は猫か犬ですが、猫の方が繊細な音がするとされています。
【その特徴】
太棹三味線は胴が大きく、力強い音色がします。じょんから節で有名な津軽三味線や、文楽・歌舞伎の竹本に用いられる義太夫の三味線などがこれです。義太夫三味線の音は「ベンベン」とか「デンデン」などと表現します。
反対に細棹三味線を使う音楽は、軽やかな音色で演奏します。長唄などでは、唄、三味線それぞれ数名ずつで華やか且つリズミカルに演奏する場合が多いです。
中棹三味線を使う音楽は、細棹に比べて落ち着いた音色です。地唄、常磐津、新内等がこれにあたります。細棹や中棹の音を例えるなら「チントンシャン」といったところでしょうか。
【演奏とバチ】
三味線はわずか3本の、太さの異なる糸(絹糸を何本も練り合わせて作る)で総ての音をつくり出します。悲しい音、嬉しい音、力強い音……その表現力は実にダイナミックです。三味線にはギターのように押さえる場所の目印が付いていないので、訓練によって体得しなければなりません。押さえる場所のことを「かんどころ」といいます。文字通 り“勘”で操るのです。
バチも各三味線によってまちまちです。同じ太棹でも義太夫三味線では分厚い象牙製で、津軽三味線は薄手の鼈甲製です。また小唄はバチを用いず指で弾きます。これを爪弾き(「つまびき」ではなく「つめびき」)といいます。
……というわけで、2月はいよいよ「平成の三味線ニスト&語りニストたち」がコラーレにやってきます。津軽、長唄、義太夫、そして浪曲と、様々な三味線が一堂に会する、こんな美味しい機会はめったにない! しかも演奏者が若くて一流で面白くて! もう行くしかない!
(1999年01月 COLARE TIMES 掲載)