ラレコ山への道 蝉丸 徒然日記
コラーレ倶楽部
アクティブグループの部屋
COLARE TIMES
Vol.56 2017年夏 台北
2017年12月
久しぶりの台湾公演は波乱ずくめの旅となりました。 公演20日ほど前に出演者の一人が自転車で転び顔面を強く打って病院に運ばれたと連絡がありましたが、2週間前になって手術を受けたところ、台湾出演は無理だと医者に言われたそうです。黒藤院公演を東京両国で行う直前でしたので、対応はそれを終えてから1週間で行わなければなりません。幸いその公演に出演していた百木とアンダースタディーの岩本のスケジュールが空いていたので、7月18日から22日まで振り写しの稽古をして、25日に出発しました。
台湾の公演会場は中正紀念堂の敷地にある「国家戯劇院」という巨大な建物で、見る者を圧倒する建造物です。これまで4回公演していますが、今回は9年ぶりです。数年かけてリニューアルして、劇場機構がかなり変わりました。
直径60mmもあった太い美術バトンは51mmになり使いやすくなりました。搬入口は相変わらず段差があり使いづらいのですが、要求通りフォークリフトが来てくれました。ステージ全面が沈下して搬入口と繋がるので一度に全ての舞台装置を乗せてステージレベルまで運びます。照明機材のケーブルコネクターは独特の形をしているのですが、アメリカタイプの物にも対応していて、電圧も110ボルトと220ボルトの両方が使えます。
仕込日が2日間あり、しかも午後5時で上がりです。のんびりしたいところですがダンサーの変更に伴ってリハーサルをしっかりやらなくてはいけません。岩本は山海塾公演には初出演です。メンバーのポジションにも変更があります。
7月28日、客席もほぼ埋まり、「MEGURI」公演は無事初日を終えました。シャワーを浴びて帰り支度をしていると、スタッフが明日の撤去作業の打合せをしています。予定では明日の公演後は作業せず、明後日の朝、撤去積み込み帰国となっていました。しかし驚いたことに台風の影響で明日の公演は中止となり、撤去作業をしなければならなくなったというのです。台風9号が近づいているのは知っていましたが、まだ実際に影響はありません。また、台風の被害で公演が不可能になったというのならば理解できるのですが、予報だけで中止というのは聞いたことがありません。国立劇場なので政府の命令で中止せざるを得なくなったというのです。いわゆる行政措置ですので出演料の補償もありません。受け取れる出演料は2分の1になります。支出は公演が1回であろうが2回であろうがほぼ変わらないので大損です。
翌29日は風もそれほど強くないのですが中止命令は変わらず、午後から撤去積み込みをしました。床の沈下作業を始めたところ水平が崩れて止まってしまい、結局小さなエレベーターで搬出口まで運びました。夜は主催者と打ち上げパーティーを行い、必ず近いうちに公演しようと約束しました。 帰国予定の30日は航空機のフライトスケジュールが元に戻っておらず、乗船予定のフライトは欠航。深夜のフライトに変わって31日帰国となったので、故宮博物院に観光に行こうとしたのですが、ここも臨時休館となり調べると地下鉄もダイヤが乱れているそうです。 天気は良いのですが出かけることも出来ずにいると台風10号が近づいてきました。夜のフライトが欠航しそうになり、このままだと宿泊にも困ります。旅程に関しては主催者の責任となっているのですが、急遽午後4時20分のフライトを押さえることが出来たのですぐ出発の準備をしてくれと連絡が入りました。幸いツアーメンバー全員と連絡が取れたので帰国の途につきました。 私は一旦キャンセルした都内のホテルを再び予約し30日成田着、都内に宿泊し31日帰宅、8月1日夏期舞踏合宿に間に合いました。
写真上)
台湾・台北の代表的観光スポットである「中正紀念公園」。中華民国の初代総統・蒋介石(1887-1975)の功績を記念して建設された。敷地内には、蒋介石像を安置する「中正紀念堂」のほか、中国式庭園や回廊、植物園などが整備され、市民の憩いの場として親しまれている。「中正」とは蒋介石の本名。
写真は、広場に立つ宮殿様式の「国家戯劇院」。その向かいには「国家音楽庁」が立つ。
写真下)
写真は、国家戯劇院の搬入口。
国家両庁院である「国家戯劇院」と「国家音楽庁」のふたつの建物は、総合芸術文化施設として1987年に開館した。日本からは、蜷川幸雄、宝塚歌劇団なども公演している。