ラレコ山への道:国際交流員「目からウロコ」
コラーレ倶楽部
アクティブグループの部屋
COLARE TIMES
#03 スポーツの秋
2011年11月
仲秋の候ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。虫の声が秋を思わせるこの頃、皆様方にはお変わりございませんでしょうか。
In this Autumn period, I write to wish you continued success. The insects sound their arrival of Autumn, and I wish that you are continuing without much change.
この間手紙を英訳していたところ、遭遇したのが日本独特の時候の挨拶。直訳してみたらせっかくの詩的な文があり得ない英文になってしまいました。しかし挨拶と結びの言葉を省いたら、文の長さが半分以下に……日本の文化の魅惑を感じつつ、違いもつくづく感じる今日この頃です。
さて、秋といえばスポーツの秋。今月はオーストラリアで盛んなスポーツについて語ろうと思います。
オリンピック、テニスやサーフィンなど、世界ステージでも活躍しているオーストラリアですが、やはりオーストラリアと言えばラグビーのイメージが強いと思います。今、巷では「ラグビーワールドカップ2011」が開催中です。残念ながら日本は1次リーグで敗退、オーストラリアは強豪南アフリカを破るも準決勝で宿敵ニュージーランドに完敗しました。これで開催国ニュージーランドの優勝はほぼ確実でしょう。ラグビーワールドカップといってもプレイされるのは「ラグビーユニオン」。しかしオーストラリアでは三つの種類のフットボールが親しまれています。ラグビーユニオンの他には、オーストラリアで最も人気なオーストラリア独自の「Australian Rules Football(略して「Aussie Rules」オージー・ルールズ)」、そして「ラグビーリーグ」。三つともルールがかなり違うものです。サッカーも厳密に言えばフットボール(Football)ですが、オーストラリアではそう認識されてなく、視聴率も結構低いです(W杯は例外ですが)。
ラグビーに次いで人気あるのがクリケット(Cricket)。野球に若干似ているスポーツですが、オーストラリア、イギリス、パキスタンやインドなど、イギリス連邦加盟国にとりわけ人気があります。塁の代わりにピッチ両側に「ウィケット」があり、バッターはバットを逆さに持ち(ゴルフクラブのように)、ピッチャー(正確にはボウラーと呼ぶ)は助走しながら肘を曲げずにボールをウィケット手前でワンバウンドするよう「ボウル」をします。日本人にとっては大変奇天烈なスポーツであり、コラーレで子どもたちと遊ぼうと試みたところ、やはり理解されず結局鬼ごっこをする羽目になりました。しかしオーストラリア人はクリケットをこよなく愛し、正式試合(テスト・クリケット)が5日間続くにも関わらず観戦しています。
そして3番目に人気あるのが競馬。これは説明の必要がないですね。
さて、日本で人気あるスポーツは順に、野球、サッカー、そして相撲です。野球とサッカーは技術的要素および情熱的要素を伴い、相撲は伝統的要素に満ちています。日本人のスポーツの好みが日本人の人格を表すとしたら(もちろん一般論ですが)、なかなか良いイメージが浮かんできます。とすると、オーストラリア人のスポーツの好みはオーストラリア人がつまらなく、単細胞で脳みそ筋肉状態であることを示唆するのでしょうか。もちろんこの見解は僕がオーストラリアのスポーツにうんざりしていて、批判的になっていることが大きく影響していると思います。しかし、ラグビー選手が集団レイプといったスキャンダルを起こすなど、実際ラグビー界やクリケット界では過去にかなりの問題が少なからず生じており、悲しいことにオーストラリアの子どもたちはそういった選手を手本となる人物として見るのです。ちなみに僕の好みのスポーツは、サッカー、バスケ、スノボ、サーフィンといった技術およびフォームを要求するものが多く、僕の気品ぶり(!?)を裏付けるものばかりです。
読者の皆さん、秋冷日ごとにつのる季節、どうぞお健やかにお過ごしくださいますよう。
黒部市にはもう一人(一匹)の国際交流員がいることをご存知でしたか? 彼の名前は Kevin。彼はラグビーとクリケットをこよなく愛すカンガルーでございます。日々、僕とともに保育所や幼稚園を回っています。
(2011年11月 COLARE TIMES 掲載)