ラレコ山への道:国際交流員「目からウロコ」
コラーレ倶楽部
アクティブグループの部屋
COLARE TIMES
#08 恋愛と結婚と家族
2012年5月
If I had a flower for every time I thought of you…
I could walk through my garden forever.
貴方を想うたび 花を咲かせたら
果てしない花園を歩んでいける
かのイギリス詩人、アルフレッド・テニスンによる名言です。
さて、ロマンチックな気分になったところで LET’S START! 結婚さえしてない未熟者ですが、私なりに感じた日本とオーストラリアの違いについて語りたいと思います。
■ 恋愛と結婚
個人的にはごく普通な恋愛関係を続けておりますが、何しろ首相でさえ未婚(パートナーの男性と同棲)、そんな国オーストラリアでは多様な恋愛関係が見られます。知り合いの中だけでも非嫡出子、同性愛者カップル、一夜限りおよびカジュアルセックス(セックスフレンド?)の関係等があります。
それはさておき、面白いと思ったのが愛情表現においての違いです。西洋文化ではしょっちゅう好きな相手に「愛してる」とはっきり言い、公共の場でも堂々とイチャイチャしています。それに比べて日本では、街中で手をつないだり、イチャイチャしたりするカップルは割と少ないように感じます。
話によれば、夏目漱石は「I love you(アイラブユー)」を「月が綺麗ですね」と訳しました。もちろん今時こんな表現を使う日本人はいないと思いますが、すべてを言わないことが美しいとされている日本ならではですね。日本情緒豊かで気に入っているので、今度オーストラリアに戻ったら使ってみたいと思います。どう解釈されるか楽しみです。
さて愛情表現のひとつであるセックスですが、日本はセックス頻度と性生活満足度で世界最下位だということが数々の調査でも裏付けられています。最近見た日テレの「世界番付」でもこのことは取り上げられていましたが、それに対して「日本人はセックスしなくても愛情を表わせることができる。日本人は進化したんです!」と誰かが言っていました。
似たような番組で夫婦間でのキス回数を調査したものがありましたが、日本は最下位から2番目でした(1日0.56回)。ちなみに最下位が韓国、オーストラリアは3位でした(1日5.91回)。外国人パネリストに問われたところ、ゲストのひとりが前述と同じく愛情表現の違いを主張しました。日本人は一生懸命働き、お金を稼ぎ、ローンを返済することで愛を表現する、と説明していました。そういった愛情表現もありだなと思いつつ、多くの冷めた夫婦関係や少子化問題を見ると、問題があることも否定できないと考えます。
国際化のため、出生力回復のため、もっとイチャイチャしましょう! と言いたいところですが、もちろん原因は会社や政府等、他にもあるので、問題を単純化していることは認めます。無論身体的接触や言葉だけが愛情表現であるわけでもありません。さらに言えば、愛情をはっきり表現するのは「日本人らしくない」、すなわち「退化」と見られる故、日本では必要のない「国際化」であるかもしれません。それでも決してマイナスにはならないと個人的には思っています。少なくとも夫婦関係をより豊かなものにするべく「キャベツ畑の中心で妻に愛を叫ぶ」や「ハグタイム計画」といった活動を主催する日本愛妻家協会はそう考えているみたいですね。(日本人らしい国際化については、来月の「目からウロコ」でまた考えたいと思います!)
ちなみに、The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)ではこういった記事(http://jp.wsj.com/japanrealtime/blog/archives/4139/)がありましたが、それに対し「西欧恋愛至上主義的な観念、日本に押し付けないでくれ」とコメントがありました。読者の皆さんはどう思われますか?
単に日本のバッシングとは思われたくないので付け加えますが、少子化にしろ、離婚率増加にしろ、結婚に関する問題は日本同様オーストラリアでも確実に深刻化しています。
■ 家族
セックスレス現象とおそらく関係性のあるもうひとつの違いが、子どもを主体とした家族様相です。子どもを「さん」付けしたり、夫婦同士で「パパ」や「ママ」とお互い呼び合ったりすることはオーストラリアではほとんど見られません。日本では「夫」や「妻」ではなく、第1に自分たちを「親」であると考えているそうですね。
オーストラリアでは一般的に、夫婦は子どもよりお互いを優先する傾向が見られます。だからと言って子どもを大切にしないわけではないですが、あくまで子どもは2番目なのです。子どもとの時間はせいぜい25年程度、しかし配偶者とは最悪一生共にいなければならない、といった考え方からなる姿勢なのでしょう。定期的に子どもをどこかに預けてデートをするカップルも結構います。それでも意外と親子関係は悪くなく、ある調査によれば、思春期を通しても子どもと親とのコミュニケーションは維持され、親密な関係が保たれているとの結果でした。
原則として、結婚したら子どもは家を出ていくので、2世帯住宅はあまりありません。その面では日本の親孝行および老後の世話を積極的にする姿勢は素晴らしいと思います。東洋文化で重んじられる親への敬意、そして西洋文化で大切にされる夫婦仲、両立できれば理想的ですが、実現するのはやはり困難なのでしょうか。
もちろん日本でも時々老夫婦が一緒に道を歩く姿を見かけます。手こそつないでいませんが、そういった光景は無条件で心温まります。
日本のバレンタイン・デーには驚きました。女性がチョコをあげるわけですが、西洋文化では男性があげるものです。普段でも女性が告白することはしばしばあるとか……。さすがは大和なでしこ、日本人女性強し! 男性にとってもお得な話ですね!
(2012年05月 COLARE TIMES 掲載)