ラレコ山への道:国際交流員「目からウロコ」
コラーレ倶楽部
アクティブグループの部屋
COLARE TIMES
ウィスコンシン州の公務員デモ
2011年3月
2月13日から、ウィスコンシン州の州都マディソンにある州議会議事堂の周辺で、約7万人が大規模のデモに参加しました。今年の1月に就任したスコット・ウォーカー州知事(共和党)が提案した公務員の集団交渉権を厳しく制限したため、年金費用や医療保険料の負担を増加する法案に反対している公務員や一般の州民が大勢でデモ活動を開始しました。
ウォーカー知事と州議会の席の大半を持っている共和党議員は交渉しないで「財政修繕案」と言われている法案を成立するつもりだったのですが、議会活動を一時停止するために14人の民主党議員が州から逃走しました。戻って来ないと議員に人数が足りないため、法案の成立ができません。
デモ活動が始まってから多くの教師などが欠勤してデモに参加したので、5日の間に参加者の人数が2万人から7万人まで上がりました。マディソン市の教師がほとんど欠勤したので、マディソンの公立学校が3日連続で休校になりました。先生を応援するために、授業が休止された高校生もデモに参加しました。
去年の選挙で努力したティー・パーティーのおかげで当選したウォーカー知事は、1億3700万ドルまで上がった現行予算の財政赤字を直すために、州公務員の福利厚生費を2倍以上に上げて、そしてさらに公務員組合の福利厚生に関する集団交渉の権利も廃止する「財政修繕案」を成立しなければならないと言います。
この法案に反対している公務員や民主党議員は、公務員の福利厚生費増加や給料の減少にやむを得ず納得したが、集団交渉権利の廃止を絶対に許さないと言います。一方、ウォーカー知事も参加者が7万人まで上がったデモに関わらず、法案に関して交渉をしないで現在の法案を無修正で成立すると言い、強い態度を保っています。
アメリカの公務員は大体、民間の職員より給料が低いですが、福利厚生にかかる経費が高いです。福利厚生費を含めれば、ウィスコンシン州の公務員の平均収納が一般の州民よりかなり高いという調査報告が出ました。でもそれは公務員の平均学歴が一般の人より高いからという報告も出ました。公務員の収入が本当に高すぎるかを疑問視してウォーカー知事の法案を批判している人もたくさんいます。
現在、アメリカのほとんどの州がある程度財政赤字になっているので、ウィスコンシン州の状況が各州の政府や州民に注目を引いています。公務員が集団交渉権を失ってしまったら、民間の企業まで影響が及ぶ可能性もあるので、各党の議員がちゃんと話し合って、「財政修繕案」を見直してほしいです。
(2011年03月 COLARE TIMES 掲載)
ウィスコンシン州議会議事堂の前に高校生が先生を応援しに来ました。ウォーカー知事の法案は教師だけではなく、ウィスコンシン州の消防士、警察官、刑務官など多くの公務員に影響します。デモの参加者はみんな強い意見を持っていますが、暴力的な行為が起きていません。