ラレコ山への道:国際交流員「目からウロコ」
コラーレ倶楽部
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COLARE TIMES
#03 クリスマスはなくなってきている行事?
2018年12月
アメリカでは2015年から、クリスマスの時に喧嘩があります。原因は? スターバックスのカップです。ではありません、本当に!
あるキリスト教原理主義者は毎年、スターバックスのカップのデザインは問題があると思っているそうです。「クリスマスっぽくない」「クリスマス感が足りない!」「クリスマスに対する戦争!」などの声はネットで炎上させています。どうしてその人々はそう言っているでしょうか。
昔はどこを向いても、「メリークリスマス!」と挨拶する店員がいました。しかし、年が経つとともに、そういう挨拶をする人が少なくなってきました。最近は、「メリークリスマス!」の代わりに、宗教行事の関係ない「Happy Holidays!(ハッピーホリディ)」という挨拶が普及しています。そして2000年代前半ごろ、アメリカの右翼の団体は「クリスマス戦争」というフレーズを使い始めました。「キリスト教のクリスマスが試されている! 冬=クリスマスだ! クリスマスがなくなっている!」と言っていて、その店員のいる店をボイコットし、抗議運動を呼びかけました。
2015年、スターバックスは真っ赤なカップを発売しました。過去数年のカップに比べて無地なデザインを選んだのは、「皆さんそれぞれのストーリーを迎えるように」と述べたのです。この発言に対しての右翼の団体の反応はひどかったです。動画で、「スタバがカップからクリスマスの映像を消したのは、キリストが大嫌いだからよ!」と言っていました。しかしスターバックスは初めから、キリスト教のイメージを全然使っていません。それより前に、アメリカのスターバックスのカップを彩っていたのは、トナカイ、雪花、雪だるまなどで、これらはすべて普通の季節のシンボルです。それでも、その右翼の団体に一理ありますか。
キリストの誕生を告げる日としてのクリスマスを祝っている人は、だんだん少なくなっています。クリスマスツリーを飾ったり、クリスマスの日にプレゼントを交換したりする無宗教や無神論者の人が増えてきました。
しかし私は、クリスマスがなくなってきている行事という意味ではないと思います。キリスト教が欧米で広がっていた時代、異教徒を帰依させるために、その異教の行事とキリスト教の行事をよく交えさせました。だから、現在祝われているクリスマスは昔のクリスマスと一緒だとは言えません。いろいろな民族や文化の産物です。
それで、私にとってクリスマスは、なくなっている行事ではありません。むしろ、昔のクリスマスのように、進化している行事だと思います。ある人々に、クリスマスはもはや、キリスト教徒の祝日だけではないと言えるかもしれません。
現代のアメリカ人は多様で、冬に祝っている行事はクリスマスだけではなく、ユダヤ教徒の「ハヌカー」やアフリカ系アメリカ人の「クワンザ」もあります。また、イスラム教徒、ヒンドゥー教徒、そして仏教徒などは12月の行事がないけれど、冬の雰囲気を楽しんでいるでしょう。そう、右翼の団体の「アメリカでは、冬=クリスマスだ!」という考えは当てはめられないかなと思います。
キリスト教徒のクリスマス、無宗教のクリスマス、誰もがお互いに、冬の行事や伝統を認めあえたらいいと思います。そしてこの冬、皆さんそれぞれのストーリーを迎えるようにしましょう!
[最近、目からウロコが落ちたこと……]
11月、秋祭りを見に行きました。華々しい飾り、仮装がいっぱいありました!
少子化による結果のひとつは、日本の小さな村と町が消えていることだそうです。そして、その地域の伝統や行事もなくなっていくそうです。このコラムを書きながら、黒部市にもなくなっている行事、または進化している行事があるのかなと思いました。
(2018年12月 COLARE TIMES 掲載)