ラレコ山への道:国際交流員「目からウロコ」

#08 母の日(Mother’s Day)

2019年5月

目からウロコ

 5月12日の日曜日は「母の日」です。

 アメリカでは母の日にあたり、保育園、学校、教会、クラブなどで、飾りや小さなプレゼントを作ります。色とりどりの薄葉紙で作った、破れやすくてはかない花束。子どもの成長がわかるよう、手形を残した粘土。お母さんを笑わせるために、マカロニを紙に貼って面白い顔を作った、マカロニアート。愛情を込め、べたべたした絵具で彩った母の日のカード……。

 私が小さい頃、母の日には父に朝早く起こされ、おばあさんのレシピに従って、父と一緒にパンケーキを焼いていました。パンケーキが上手に作れる父は、まず生地で母の名前のイニシャルやハートの絵を逆さまに書き、1分が経ったら生地をもっと加え、パンケーキの丸い形にしました。そしてパンケーキをひっくり返すと、まるで魔法のように、絵が現れました。

 そのあつあつの焼きたてパンケーキの上には、メープルシロップをかけます。そして、母が大好きなチョコをかけたイチゴ、オレンジジュース、クリームで淡い色になったコーヒーを一緒にお盆に置き、母のための朝食の出来上がりです。ベッドの上にいる母に、心のこもった朝食を運びます。「breakfast in bed」という言葉は、アメリカでは母の日によくされることです。大好きな朝食をもらった母の明るい笑顔が今でも思い出せます。

 私が高校生の時、母のスプリング・クリーニングを手伝っていると、車庫で大きくて重い箱を見つけました。箱の中は、私が小さい頃から母の日に贈った手作りプレゼントでいっぱいでした。「おかあさん、もう要らないでしょう? 捨ててもいいよね?」と聞いたところ、「絶対だめ! そのまま置いておいて!」と叱られました。その時、母がなんでこんな邪魔なものを置きたがるか理解できなった私は、軽く抵抗しました。「箱が3つもあるよ! どうしてこんなにたくさんを大切にしたいの? 中身は下手くそなものだらけだし、この手芸品はもうボロボロになってるし……」

 この言葉を聞いて、母は笑いました。「母親じゃないリンジーはもちろんそう言うわね。じゃあ、口答えはもういいよ。箱はそのままにしておいてね」

 今の私には、子育ては幸せなことばかりじゃなく、辛い時も多いことがわかります。小さな子どもに「ママ嫌い!」と言われるとき、子どもが成長するとともに距離が広がることを感じるとき、子どもの将来について心配するとき……。お母さんはこんなとき、こられの愛が詰まった手作りプレゼントや「breakfast in bed」の記憶を大切にしているのだと思います。小さいことかもしれませんが、永遠に残る思い出になると信じています。


[最近、目からウロコが落ちたこと……]

 日本の4月は変化の時期だと気付きました。人事の異動で同僚の顔が変わったり、気候が暖かくなったり、短い期間に桜が咲いたりします。アメリカではこのような変化はまったくないので、びっくりしました! 変化というのは怖いことかもしれませんが、楽しみでもあります!


目からウロコ

 4月に友だちと一緒に富山県中央植物園へ花見をしに行ってきました。とっても綺麗でした。心が癒されました!

(2019年05月 COLARE TIMES 掲載)

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