ラレコ山への道:国際交流員「目からウロコ」
コラーレ倶楽部
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COLARE TIMES
#12 アメリカ人は働きすぎる!?
2019年9月
アメリカでは、他の西洋の国と違い、9月の第1月曜日は労働者の日(レイバーディ/Labor Day)と定められています。日本へ来る前は、日本人は世界中の誰よりも働いていると、信じて疑いませんでした。「過労死」という日本語の言葉がアメリカでも知られていて、日本人は四六時中働いているイメージが非常に強いです。
こんなイメージを持っていた私は日本に初めて着いた時、終電まで働く人を見てもそんなにびっくりしませんでしたが、定期的に一晩中始発まで働く人もいると聞き、「え、嘘でしょ!?」という言葉しか出ないほど衝撃を受けました。「休まずに朝まで骨を折って働くことは、体調的にも精神的にも悪いんじゃないの?」と思いながらも、アメリカの企業文化についてまでは全く考えていませんでした。
OECD(経済協力開発機構)という国際機関は、毎年主要国の労働時間の統計データを集め、各国の全就業者における平均年間実労働により国別にランキング化をします。日本は、1970年の2243時間(1週間約43時間)から1990年の2031時間(1週間約39時間)まで、先進国の中で1位でした。しかし1999年には1810時間となり、アメリカ(1839時間)に追い越されました。今でも、その差はまだあり、2018年にアメリカは1786時間で、日本は1680時間でした。そして他の先進国の下降傾向と異なり、2008年からアメリカ人の労働時間がだんだん増えています。
当然、これはただひとつの調査の統計で、外部から影響を受けやすいものです。過少申告をしていたり、日本のパートタイム労働者の増加などの要素もたくさんあります。他の調査では、日本人の男性の1日当たりの労働時間は、全体平均に比べ2時間近く長い結果の物もあります。しかし、私はこのOECDの調査を読んだとき、アメリカのことを反省させられました。
私が日本に初めて住むようになった2015年は、9月に「シルバーウィーク」の5連休があって、そして10月は体育の日、11月は文化の日や勤労感謝の日、12月は天皇誕生日や年末年始……と、日本では祝日が相次いでいるね! と強く感じました。やはり日本とアメリカを比較すると、日本は国民祝日が15日ですが、アメリカは10日しかありません。
そして日本で仕事をスタートしてから、さらに他の違いに気が付きました。日本の労働者は年間休暇が平均20日ありますが、アメリカの労働者は10日です。例えば、日本で社会人2年目の私は、アメリカで17年ずっと同じ職場で働いている母親より、年間休暇が3日多くあります。その上、アメリカには普通の労働時間も残業時間も上限規制はありません。法律で保護された出産休暇もありません。
日本では、残業時間上限などの問題の解決を目指す「働き方改革関連法」が、今年の4月から順次施行されています。私は日本の労働環境をほんの一部しか知らず、1日の長時間労働などで日本の企業は厳しいとは思いますが、やはりアメリカも労働制度の改正が必要でしょう。
[最近、目からウロコが落ちたこと……]
8月初旬、新しいALT(外国語指導助手)が富山県にやってきました! 新学期の始まりのように、初めて会う人たちがたくさんいました。そして写真からわかるように、研修にみんなで立山に行ってきました! 立山は私も初めてなので、新しい人たちと一緒に新しい経験ができて、とっても嬉しかったです。帰国するまでに、いつか頂上まで絶対に登りたいです!
(2019年09月 COLARE TIMES 掲載)