日本でもアメリカでも、バレンタインデーはカップルの愛の誓いを祝う祝日だと言われます。

　アメリカでは、小学校に入る時からバレンタインデーを祝いはじめます。子どもたちはみんな、事前に個人の郵便箱を作ったり、赤やピンク色の紙を切ったハートで飾ったりします。そしてバレンタインデー当日にはクラスメイト全員に、おもしろいダジャレなどが書いてあるカードやキャンディーを配ります。

　日本では手作りチョコレートを渡して告白をする慣習がありますよね。アメリカでも、特別な手作りカードや自作の詩、可愛いくまのぬいぐるみなどを渡して、好きな人に告白する子どもたちはもちろんいますが、それは基準だと言えるほど多くありません。自分の高校では、学生自治会の資金を集めるために、バレンタインデーに好きな人に配達される「Orange Crush」（※）というソーダを売るイベントが開催されていました。匿名での注文も可能だったのですが、送り先は恋人や好きな人よりも、約90％は友だちへの注文でした。

　こういう例からわかるように、バレンタインデーはカップルのためだけの祝日だと思われていません。小学校でも高校でも、この日は友人やクラスメイトに友情や感謝の気持ちを表現します。皆さんご存じの通り、「愛」には様々な形があります。友だちの愛、親と子との愛、兄弟姉妹の愛……数え切れないほど多くありますね。

　しかしながら、最近の研究により「慢性孤独感の時代」になりつつあると言われています。2018年の調査で、アメリカ人の46％は「頻繁に孤独感を感じる」と回答しました。そして日本で行われた調査の結果では、日本人の57.1％が「孤独を感じることがある」と答えました。その上、寂しさに関わる病気の深刻度も明らかになっていて、憂鬱病、心臓病、睡眠障害、糖尿病、高血圧症などの健康問題になる可能性も高いようです。そして、孤独感の影響を一番受けやすい年代は高齢者です。

　この世界では、あらゆる種類の人がいます。恋人が亡くなった人、年を取って家族のない高齢者の人、そして恋愛に興味のない人も。なので、みんな、バレンタインデーの日に寂しくならないように恋愛に関係ないパーティーをします。例えば、今は、「Anti-Valentine’s Day（反対バレンタインデー）のパーティー」や「Galentine’s Day（ギャレンタインデー）のパーティー」などがあります。紹介したいGalentine’s Day は、もともと女性向け祝日でしたが、今はプラトニックな（恋愛無関係）友情関係を祝う日になりました。女性の友だちで集まったり、チョコレートやお菓子を交換したり、女子会のようなパーティーをするバレンタインデーの前日のお祝いです！　誰にでもあげることは可能ですが、孤独感を強く感じる年代は高齢者なので、こういうパーティーは特に老人ホームで多くなっているそうです。

　誰でもバレンタインデーを楽しめるようになるパーティーなどは、とてもいいことだと思いませんか？　だから今年は恋人だけではなく、大事にしている人みんなに感謝の気持ちを伝えながら、バレンタインデーを祝いましょう！

※「Crush」は「潰す」という意味で、「Orange Crush」は「潰されたオレンジからできたソーダ」という意味です。しかし、「Crush」は「首ったけの人」という意味も持っているのです。こんな言葉遊びに基づいて、バレンタインデーに「Orange Crush」のソーダを売っていました！

［最近、目からウロコが落ちたこと……］
　年末年始、アメリカに帰りました。去年も帰りましたが、今年は１年ぶりだったので、前回よりもよけいに「reverse culture shock（逆カルチャショック）」を経験しました。例えば、友だちや親戚のみんなとおしゃべりしていて、ときどき相手が理解できない日本生活についての話題が出てきて、話が途切れてしまうこともありました。外国に長く在住する人々は、帰国しても「これはまだ私の家だ！」と、信念を持って言うことができなくなる人もいるかもしれません。

　アメリカに帰った時、一番の親友に会えました。家族や友人と一緒に、美味しい韓国風焼肉を楽しみました！

（2020年02月　COLARE TIMES 掲載）