ラレコ山への道:国際交流員「目からウロコ」

#26 クリスマスをひとりで過ごす人へ

2021年12月

 2019年の調査によると、クリスマスを祝うアメリカ人は約93%だそうです。しかしながら、クリスマスが元々はキリスト教の祝日であるものの、祝う人が必ずしもキリスト教徒だというわけではありません。クリスマスは宗教的な祝日と言うより、むしろ現代では文化的な祝日になってきました。例えば、私はイスラム教徒や無神論者の友人ともクリスマスプレゼントを交換したり、イルミネーションを見に行ったり、クリスマス・クッキーを飾って食べたり、他にもキリスト教に関係ない行事をいろいろ楽しんでいます。

 アメリカのクリスマスはどういうものかと聞かれたら、いつも「日本のお正月のようです」と回答しています。しかし、それでもちょっと違います。確かに、クリスマスは多くの人々にとって1年で最も大事にされている祝日だし、帰省したり、家族に会ったり、親戚と一緒に時間を過ごしたりするところが日本のお正月に似ています。でも、社会的には雰囲気がちょっと違います。

 11月の第4木曜日の感謝祭の終わりが近づくと、街は一気にクリスマスムードに染まります。まるで魔法のように、一晩で街並みやお店が一変し、クリスマスの飾りや商品で溢れるようになります。どこへ行ってもクリスマスの音楽が聞こえ、とても暖かくて賑やかな風景になります。

 お正月もクリスマスも、去年と同じく今年も帰れない人がいるかと思います。それに、家族がいない人、離れて会えない人、大事な人が亡くなった人もいるでしょう。新型コロナウイルスが流行り始める前から、アメリカを含めて世界中の若者が「孤独のパンデミック」に立ち向かっており、それはさらに悪化しつつあります。アメリカで行われた調査によると、コロナが流行り始めてからの孤独感の頻度についての質問に、「頻繁に感じる」と「ほぼいつも、またはいつも感じている」と回答した人は全体の61%になっています。日本にも同じような増加の傾向が見られました。

 家族に会えない祝日でも、他人を手伝い、人々の幸せに貢献できる方法があります。例えばアメリカだと、子ども福祉施設や病院でボランティアをしたり、独りぼっちのお年寄りがいる老人ホームを訪ねて一緒に過ごしたり、困っている人にプレゼントなどを寄付したりする人がいます。時間の余裕があまりない人は、長い間会っていない友人や知人と話をしてはどうでしょうか。聞き手としてそばにいてあげることだけで大きな良い影響を及ぼすことができると思います。

 こういう大変な時には、陽気なクリスマスの飾りを見ると、逆に孤独を感じる人がいるかもしれません。しかし、クリスマスは英語で「season of giving(与える季節)」として知られています。最初の一歩が難しいかもしれませんが、孤独な時にお互いに手を差し伸べ合えれば、お互いの孤独感が軽くなり、みんなの幸せが少しでも増えるだろうと思います。


[最近、目からウロコが落ちたこと……]
 今月、2年ぶりに新しいALT(外国語指導助手)を黒部に迎えました。この新しく来た人のおかげで、黒部市や日本のことを新たな目で見直すことができました。
日本にほとんど慣れた私が受け入れたことで、改めて様々なことに気づき、「やっぱりあれこれ違うようね」とか「あ、アメリカではシャンプーのレフィル袋がないから説明しないとね」などの考えが次々と浮かんできました。自分には当たり前になってきたものが誰にでも当たり前ではないと、新たにわかりました。

uroko2112

写真:
いろいろな手続きをした後、黒部駅前の Reiwa Pancake で、新しいALTと一緒に古代米パンケーキを食べました。

(2021年12月 COLARE TIMES 掲載)

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