ラレコ山への道:国際交流員「目からウロコ」
コラーレ倶楽部
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COLARE TIMES
#05 黒部の姉妹都市
2023年5月
新年度がはじまりましたね。これを機に、昨年度(令和4年度・2022年度)に参加した、ふたつの海外出張についてお話ししたいと思います。
まず、黒部に来て仕事に就いたばかりの2022年8月、オランダへの派遣がありました。27日の朝に黒部を出て、関西国際空港まで行って、韓国経由でオランダに向かいました。ちなみに、前日の26日に立山登山をしたので、筋肉痛のまま1日中、車と新幹線と飛行機で過ごしました。そして何十時間後、生まれて初めてオランダに一歩を踏み出しました。アムステルダム空港に着いたのは午前6時でしたが、第1印象は朝の青空が綺麗で、天気が本当に爽やかだということ。それから、バスに乗って、Afsluitdijk(アフスライトダイク)という締め切り大堤防を渡って、フリースラント州とその中にある黒部の姉妹都市のスドウェスト・フリースラン市に出発しました。目的地に着くまで絵に描いたような海の絶景を眺めることができたので、1日目から大満足でした。
スドウェスト・フリースランでの出来事を全部書くと話が終わらないので、特に印象に残った3つのことについて書きます。まず、水のことです。オランダのレストランに行くと、出てくるのは炭酸水です。普通の水が欲しかったら、「flat water」を注文しないといけません。2つ目はデザートについて。Oranjekoekという美味しいデザートに出会いました。Oranjekoekは「オレンジケーキ」という意味で、本当に一口か二口で食べるような小さなケーキですが、色はオレンジじゃなくてピンクです。なぜこうなったのか誰も分かりませんでした。現地の人に、このケーキはフリジア文化の伝統的なデザートだと教えてもらいました。フリジアというのは北海沿岸に住んでいるヨーロッパの民族のことです。フリジア人は英語に一番近いフリジア語を話します。そして印象的だった3つ目は、オランダの独特な街並みです。至る所に運河があり、そこには市民が所有するボートもたくさんありました。ほとんどの人はボートか自転車で移動しているそうです。街を少し離れると、どこまでも広がる野原と牧場があります。オランダには昔から牛乳とチーズの文化があるので、牛もいっぱいいました。またいつか行きたいなと思っています。
そして3月の下旬に、アメリカのジョージア州にあるメーコン・ビブ郡への派遣もありました。2週間の入院からようやく退院したところで、25日に出発しました。幸いなことに、今回は直航便で行けました。出張先は母国のアメリカでしたが、ジョージア州は出身地のオレゴン州と正反対にあり、この訪問を通して初めてアメリカの南部にたどり着きました。アトランタ空港に着いたのは午後7時でしたが、外はまだ明るくてびっくりしました。それから車で1時間半かけて、メーコンに向かいました。メーコンに着くとすぐ、アメリカの歴史を感じました。ジョージア州は合衆国に加入した4番目の州なので、それぐらい古い建物も文化もありました。アメリカ史の授業でよく南北戦争と奴隷制や人種差別について学びますが、やっぱり現地に行かないとその暗い空気がなかなか伝わってきません。博物館になった当時の豪邸の「Hay House」にも入って、本当に勉強になりました。綺麗な豪邸でしたが、奴隷の強制的労働によって建てられたと考えると心が痛みます。
次はもうちょっと気持ちのいい話をします! メーコンの「国際桜祭り(International Cherry Blossom Festival)」はとても楽しかったです。テーマはもちろん桜ですが、アトラクションも巨大な揚げ物もカーニバルゲームもライブもあって、アメリカの中のアメリカらしいフェスティバルでした。そして、メーコンでアメリカ南部料理(Southern Food)を味わえました。代表するFried Chicken(フライドチキン)、 Mac & Cheese(チーズソーズたっぷりの茹でたマカロニ)、 Collard Greens(ケールの一種)、Meatloaf(パンの形をした肉料理)、Cornbread(甘くてケーキ風パン)を食べました。でも、僕の南部料理の一推しは、Gator Bites(ワニの唐揚げ)です。初めて食べてから、ずっとレストランで頼んでいました。まあ、メーコンでたくさんのいい思い出を作りましたが、残念ながら悔しいエピソードがあります。それは最終日、オランダでもらったネクタイをメーコンのレストランで失くしたことです……。ワニの唐揚げとネクタイを探しに、またメーコンに行きたいと思います。
最後に、未だに不思議に思うことを紹介します。夏にオランダに行ったら春っぽい天気でした。春にアメリカに行ったら夏っぽい天気でした。皆さんも機会があれば、ぜひ黒部と姉妹都市を訪問してください。
(2023年05月 COLARE TIMES 掲載)